出札担当

JRのきっぷ(マルス券)と営業制度について書きます。ついでに旅行記なんかも

指定席券前受けの思い出

今よりもちょっとだけ昔の話

まだ北斗星トワイライトエクスプレスカシオペアなどがギリギリ生き残ってた5~6年ほど前

これらの寝台列車の定期運行が終わるということで、きっぷはもはやプレミアと化していました

2014年頃は北斗星なんかには、平日などには空きが出てたような気もしますが

廃止直前は当然キャンセルが出る確率も低く

残念ながら運休になったとしても、きっぷを払い戻しをせず記念に手元に取っておくという話も聞いたことがあります

 

では、そんなプレミアきっぷをどうやって手に入れるか。

 

JRの指定券は運行日1ヵ月前の午前10時から発売開始します

午前10時ぴったりにマルス端末から予約情報をシステムに送信し、その送信が早かった端末に座席が割り当てられます。早い者勝ちです

えきねっと指定席券売機からは寝台券が予約できないので、みどりの窓口マルス端末から午前10時ちょうどに予約情報を送信するしかありません

 

でも、10時ちょうどに窓口に駆け込んでも間に合うはずがなく

予め係員に「この列車の席が欲しい」と伝えておく必要があるわけです

購入希望者は駅の営業開始よりも前から駅の入り口前に列を作り、順番通りに予約希望を受け付けます

 

窓口の係員は10時の少し前から窓口のうち一つを閉鎖し、希望者から受け取った予約情報を端末に入力しておき、時報を聞きながら10時00分00秒に発信ボタンを押します

これがいわゆる”10時打ち”です

あとは、運次第。なんせ日本全国の窓口から100席もない座席をめがけて一斉に予約情報が飛ばされるわけで

よくシステムが落ちないもんだと感心しました

 

「あの駅は取れやすい」「国立にマルスシステムセンターがあるから、一番近い国立駅の窓口が取れやすい」なんて噂も流れてました

 

購入希望者は

”朝5時前から駅に並んで先頭を勝ち取る”

”運良く座席が取れる”

と2つの壁を越えてようやくプレミアきっぷにありつけます

禁煙・喫煙の区分指定や、これまた数量限定の食事券を取ろうとすればさらにハードルが上がります。

マルス端末上では、寝台券の予約と食事券の予約は全く別のメニューから入るため、”寝台券も食事券も”というのは相当な難易度です。

前受けは地獄。これに尽きる

 

 

さて、せっかくなので、そんな前受けで予約した寝台券を出しましょう

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〔発券日〕2015年3月13日

〔発券箇所〕渋谷駅@1(MR32)

 

北斗星なんか取れるわけがないのでサンライズで。

サンライズツインも一編成あたり4室しかないので、レアと言えばレア

さて、このきっぷの特徴は左上の東Cのゴム印でしょうか

このゴム印は、現金精算扱いで発券された乗車券類を後からクレジットカードで精算した際に押印されます

 

前受け予約の発券は、前述のように窓口をひとつ閉鎖して、そこの端末で行うことがほとんどであり

つまり購入者が目の前にいない状態で行うので、クレジットカードは引けません

最初に現金扱いで発券しておくしかないのです

当然この時、現金も受け取ってはいないので端末上では売上がマイナスとなっており、後ほど購入者が窓口に再訪した際に精算して帳尻を合わせます

万が一購入者が来なければ、営業終了時間までにこのきっぷを取り消しし、マイナス分をなかったことにします

 

上のきっぷの場合、窓口では最初に現金精算扱いで発券し(21,600円のマイナス)

私が10時以降に同じ窓口に向かい、クレジットカードで21,600円を支払うことでこのマイナスが帳消しになりました

 

クレジットカードで支払うと必ずR通番と呼ばれる番号が付与され、万が一払い戻しを行う際は、購入日とR通番を照合させて購入したカードに払い戻しを実行します

つまり、これはクレジットカード精算においては必要な押印なのです

最初からクレジットカードで支払っていれば、この印はシステムによって印字されます

前受けや、係員が誤って現金精算扱いで発券してしまった際などに使われるゴム印と言えましょう

 

 

さて、長々と書きましたが

現在、前受けを行っている駅はほとんどないのではないでしょうか

レアな寝台列車が消えたこと

窓口を一時的に閉鎖するなど駅にとってはリスクしかないこと

などの理由で2016年ごろには「前受けやめます」というポスターが次々と首都圏の駅に貼り出されました

GWや年末年始年始のきっぷは今でも前受けやってくれるのかなぁ・・・?